REPORT

hide presents MIX LEMONeD JELLY 2017 レポート
@新木場STUDIO COAST

【LEFT STAGE】14:30
ALDIOUS

LEFT STAGE三番手は、真っ赤な照明に照らされた5つの華麗な花、MLJには昨年に続き2回目の出演となるガールズヘヴィメタルバンドALDIOUS。marina(Dr)の父は、かつてhideのレコーディング(「DICE」)に参加したこともあるので、親子二代に渡りhideと関わりを持つ。白いロングドレスがセクシーなYoshi(G)、シフォンのミニドレスに盛ったクルクル金髪ロングヘア―が派手カワイイ、トキ(G)、ロリータスタイルに黒タイツと黒髪ツインテールのサワ(B)、黒とゴールドのゴージャスなメタルスタイルがかっこいいmarina(Dr)、そして、真っ白いロングドレスに青い羽根のようなシフォンを身につけたお姫様のようなRe:NO(V)。アゲ嬢を彷彿させる派手ないでたちの5人が揃うと、ステージが一気に華やかな花園と化す。ステージの幕開けは、そんなエレガントなメンバーからは想像もつかないほど激しい「Utopia」そして「ジレンマ」。長い髪を振り乱してヘドバンする彼女たちから放出されるのは、儚くも妖しい色香。ことに、ストレートブロンドで超ロングヘアーのRe:NOのヘドバンは優雅に舞う蝶のごとく美しい。また、メロディック・メタルな楽曲や激しいパフォーマンスが、美しいだけじゃない、ただならぬ気配をも醸し出す。「たくさんのこぶしをみせてください。みんな一緒に!」Re:NOの声に誘われるように観客のメンズも「die for you」を低い声で応戦。柔らかさと棘を併せ持つRe:NOの魅惑の歌声、美しさと実力を兼ね備えたメンバーの確かなプレイ、そして最後の投げキッスに多くの観客が酔いしれた。(T)

【ISLAND STAGE】14:45
hide Film GIG

ISLAND STAGEの前は、ロビーの後方まで観客がびっしり。今回のhide Film GIGは、1997年8月26日のMIX LEMONed JELLYのhideのステージを完全上映。今まで部分的な映像はイベント等で上映されたことがあったが、スタンバイからステージ後の乾杯シーンまで6台のカメラが追った30分35秒ノンストップ上映は、初めてのことである。

映像は、楽屋のラウンジを出て、ステージ袖で煙草を吸いながら待機しているhideの様子からスタートする。目出し帽に迷彩柄のつなぎというファッションのhideが、観客の黄色い声援に迎えられておもむろにターンテーブルの前に進み出る。隣には、同じく迷彩柄のつなぎを着たINAの姿も見える。hideはテルミンを使ってヒステリックなノイズを轟かせた後、マイクを両手で握ってドスのきいた声で、「POSE」を攻撃的に歌い始める。DJというと音源をつないだりリミックスしたりして流すというイメージがあるけれど、hideの場合は歌ありトークあり何でもありのスタイルである。続いて、スピードチューンの「DOUGT」では、観客の大合唱の様子がhideの後ろ側から(hideの目線で)撮影された映像で見ることができる。

曲間のBGMが流れている間に、ブースの下にしゃがんで、目出し帽を脱ぎ、ニット帽とサングラス姿に早変わりするhide。3曲目は、ゲストにKIYOSHI(G)を迎えての「Beauty & Stupid」。瞬く照明の中、hideはドリンクを飲んだり、うちわであおいだり、タブレットを口に放りこんだりと、歌っている最中も大忙しである。曲が終わってからのMCタイムもBGMが流れていて、リズミカルなトークがhide節満開で非常に個性的だ。「わたしたち、今日3回目のステージで、そろそろ飽きてきたから、あの歌を歌おうかな」といって「パパラパ〜」と歌い始めると、すぐに観客も大合唱。そこへ、hideのライヴではおなじみのロザンナさん(ベースのチロリンの女装キャラ)が、DIE(Key)と一緒に登場。「今宵お送りする最後のナンバーです」といって、始まったのが「Lemoned I Scream」である。拡声器を持って楽しそうに歌うhideと、狭いステージの上で一緒にステップを踏むゲストメンバーたち。ソロツアーのステージを彷彿させるアットホームな雰囲気の中、hideのDJタイムは終了した。

映像は、その後も狭い通路を通って、控室に向かうhideの後ろ姿を追う。「あっつー、あっつー」といいながらつなぎを脱ぎ、控室で待っていた人やメンバーと「今日はありがとね」と、にこやかに缶ビールで乾杯。そして、バタバタと人が動く中、映像はINAの姿をフォーカス。「Next DJ INA」というアナウンスと共に、次にISLAND STAGEに出演するDJ INAへとバトンをつないだ。(O)

【ISLAND STAGE】15:15
DJ INA

hide Film GIGのラストシーンから、20年の時空を超えて、ISLAND STAGEに呼び込まれたDJ INA。いわずと知れた、hideの共同プロデューサーとしてhideと共に数々の作品を作り上げ、膨大な時間を共有してきたINAの登場である。直前まで上映されていた1997年8月26日のMIX LEMONed JELLYの映像を受けて、「これ、来てた人、いる? 20年前。俺もずいぶん痩せてた」とぎゅうぎゅう詰めのフロアのお客さんに、ラフに話しかける。そして、「45分間、ノンストップhideちゃんで盛り上がっていきましょう!」と、それまでゆったり流れていた「Lemoned I Scream」から曲が「PINK SPIDER」(remix)に変わった瞬間、一気にスタートダッシュ。「盛り上がっていきましょー!」というかけ声で、フロアのお客さんはダンス、ダンス、ダンス。hideのコスプレをしたファン、赤い髪のhide人形を振っているファンも目立つ。続く「SCANNER」(remix)では、DJブースを飛び出しステージ前に出て、マイクを持ってお客さんをあおる。「ラッシー」ではステージから飛び降りて、最前列のお客さんにマイクを向けて、hideがステージでも発していた雄叫びを順々に叫ばせる等、アクティヴな動きを見せる。

「いつものゲストを呼んでみましょう」との呼び声で、ステージに登場したのはhideのイベントではおなじみのアニメちっくアイドル桃知みなみ。ISLAND STAGEをトップバッターとして盛り上げてくれた彼女が踊るのは、イメージもピッタリの「子ギャル」だ。「一人で前に行ったり後に行ったり、大変なんだから」といいながら、INAはブースから曲を流したり、ステージに出て客をあおったり。「everfree」ではお客さんに歌わせ、スカ・ヴァージョンの「Beauty & Stupid」では、自らフロアに下りて10人くらいのファンをステージに上げる。hideのライヴツアーで、よくお客さんをステージに上げて踊ってもらっていた様子がフラッシュバックする。「Fish Scratch Fever〜Go Fish Boys」をお客さんと掛け合いで盛り上げている時、ステージに黒いハイヒールを履いたセクシーな女性が登場。そのまま、後半の「MISCAST」(remix)「OBLAAT」で、ロビーのカウンターの中にあるポールに上って、アクロバティックなポールダンスを披露する。ノンストップで流れるhideの名曲たち、エネルギッシュに動き回りながら会場を盛り上げるINA、思い思いに楽しそうに踊るお客さん、セクシーなポールダンス。その場にいた誰もが笑顔全開で、INAのノンストップhideちゃんタイムを楽しんでいた。(O)

【BLUE SKY STAGE】15:15
MAGUMI AND THE BREATHLESS

LA-PPISCHのMAGUMI(Vo)率いるジャンルレスな音楽を特徴とするバンド、MAGUMI AND THE BREATHLESS。デジタルサウンドも駆使し、独特な世界観を作り出し、ダンスチューン、バラード、行進曲、そして賑やかな曲まで様々な曲を披露。

「World is burning」でスタートさせると、ダークなダンスチューンを訴えるように歌うMAGUMI(Vo)。そして手を挙げジャンプし、踊るファン。まるでそこにはステージ上のメンバーとオーディエンスしかいないのではないかと思うような世界観が漂う。「Let’s Go!」ではホーンセクションが華やかさを醸し出し、軽快なベース音が曲にインパクトを与える。

MAGUMI(Vo)がhideとの思い出を話し、「長く生きていても楽しいことたくさんあったよと伝えたい。そうすればhideもきっとずるいと思うだろうから、そう思われるようにみんなで伝えていきましょう」と伝え、続いた「ワダツミの木」では、力強くも優しさのある歌声でオーディエンスを魅了した。そしてホイッスルからスタートしたのは「ボーダー・マーチ」。行進するかのようにリズムに合わせて足踏み、そしてエクササイズが始まったような振り付け。ステージとオーディエンスが一丸となって楽しめる1曲だ。

ラストはカルメラのホーンセクションが登場し、「パヤパヤ」を演奏。シンプルなメロディーラインが耳に残る印象的な曲で、その賑やかなサウンドに暑さも忘れ、飛び跳ね踊るファンの姿が印象的だった。(Y)

【RIGHT STAGE】15:15
J

RIGHT STAGE中盤を飾ったのは、デビュー当時からhideを兄のように慕うLUNA SEAのベーシストJ。LUNA SEA活動休止中の1997年からソロ活動を開始。丁度その年に開催された最初のMLJにも出演している。今年はソロ20周年を迎えるが、その勢いは増すばかり。より一層、磨きをかけたプレイや歌で揺るぎないJワールドを見せつけてくれる。真っ赤なライトが点滅し、メンバーが登場すると、次々に沸き起こるJコール。満を持して、黒いタンクトップ、ブラックデニムという、ソロではお馴染みのラフなスタイルのJが現れる。一曲目の「break」からブッ飛ばすと、「止まらない、止めるな!新木場飛ばしていこーぜ!」と煽りながら「one reason」へ。立て続けのヒットナンバーに観客は大興奮。今にもダイブしそうな熱気に包まれる。しかし、Jが白いベースに持ちかえると一変、会場は静かな闇の中に。じっくり聞かせながらも、サビでは力強く叫ぶ「I Know」を観客とともに熱唱。そして、hideとの思い出を語り始めた。「俺も今年20周年。20年前にこんなスゴイことをやってたなんて、あの当時の生意気な俺にはわかんなくて『hide兄、なにやってんすか!』って。Hide兄はとんでもないことをやったんですね。20年間、そんなhide兄の魂を燃え上がらせてくれて、素晴らしいことだと思う」と、振り返り、こう続けた。「ひとついっていい?みんなの声が全然聞こえないの、ここ。普段の3倍ぐらいでやっと聞こえる。イケるか―!やれるかー!」。そんなJの言葉を受け、精一杯声をあげる観客へのプレゼントにと、LUNA SEAではINORANのギターから入る「TONIGHT」を捧げた。聞きなれたイントロが始まると、歓喜とともに大合唱が始まり、観客のボルテージも最高潮に。そして、「最後は、hide兄に届けようと思います。この曲を」と、ラストソングに選んだhideの「FLAME」へ。一斉にhide人形やイエローハートのタオルを持ち上げる観客に、会場はさらにヒートアップ。hideを愛してやまない観客とhideを兄のように慕うJの心が、完全に一つになった瞬間だった。(T)

【BLUE SKY STAGE】16:00
STARMARIE

ストーリー性のある世界観を大切にしながらファンタジーな世界で魅せるダンスパフォーマンス5人組グループ、STARMARIE。若いながらも結成は2008年という約十年のキャリアを持ち、数々の海外公演も成功させてきた実力派だ。ゴシック&ロリータな衣装を纏い、ドールのような可愛らしさでダークな世界からメルヘンな世界までを全身で伝えていく。

静かに登場したメンバーたちは一列に並び、深くお辞儀をした。すぐに始まった「三ツ星レストラン・ポールからの招待状」では、その可愛らしい見た目とポップな歌声とは裏腹に、激しいダンスで会場の目を奪っていく。「狂おしき月下の舞踏会」ではしっとりとオルゴールのようなスタートで、5人はオルゴールの中の人形のように踊る。だが、そのままオルゴールの中では終わらない。曲が一気に激しくなると、滑らかにそして強く踊りはじめる。

「スペル・オブ・ザ・ブック」では、ホラーな世界へ誘うかのようなミステリアスなイントロでスタートすると、今度は操り人形になったかのようなダンスを披露。5人見事に揃ったダンスは圧巻。そして「ホシノテレカ」、「屋上から見える銀河 君も見た景色」と続き、様々なダンスの要素が取り込まれ、最初から最後まで激しいダンスでファンを魅了し、5曲というストーリーが幕を閉じた。(Y)

【LEFT STAGE】16:05
大門弥生

LEFT STAGEのラストワンは、シンガー、DJ、作詞、作曲、ダンサー、振付師、モデル、女優、演出家という9役をこなすマルチなアーティスト大門弥生。バンドメンバーによる「ROCKET DIVE」の演奏が始まると、ピッチピチの黒のショートパンツに網タイツ、黒いニーハイブーツという○○の女王様さながらのいでたちの大門が優雅に登場した。「hideメドレー」「BAD JAPANESE」に合わせ、ドレッドヘアーを振り乱しながら、激しくセクシーなダンスを披露。そのスタイルから、終始、激しいダンスナンバーなのかと思いきや、「BEST FRIEND」「NoNoNo」と、意外にもスローナンバーが続く。しかも、見た目からは想像がつかないほど透明感のあるハイトーンボイスで。それでも、歌声とは正反対の大股開きで観客を挑発するあたりに大門のこだわりを感じる。途中、ギターチューニングのため退場した大門に代わりMCを務めたケン(B)が「どれぐらいhideさん好きか確認してもいい?」というと「ジャニーズより普通にhideが好き!」と永野風に問いかけ。戸惑う観客に、ギターを持って現れた大門が助け船をだす。「いきなり振ってすみません。hideさんは、ジャンルの違う人たちを受け入れる人だったので、踏ん張ってきました。受け入れてもらえるかと・・・みんなの顔が優しい・・よかった」。そういうと、大阪から上京し7年。つい忘れそうになる時に書いたというバラード「I FEEL」をしんみり披露。さらに、ギターを弾きながらレゲエバージョンの「TELL ME」を歌い上げた。そして、アルバムの代表曲「BEST FRIEND Part2」と「サンライズ」ではお得意のダンスを踊りまくり、独特の余韻を残しステージを後にした。

【ISLAND STAGE】16:15
ゴウシ&CUTTトーク

「Xファンが笑える時間が待っていますよ」とMC担当の浅井博章の呼び込みから、CUTT(SPEED OF LIGHTS)と西崎ごうし伝説(カルメラ)がギターを抱えて登場。年季の入ったX&hideフリークとして知られる2人、早速CUTTが「今日は記念すべき『Eyes Love You』と『50%&50%』の発売した日、hideさんのソロデビュー記念日ですよ?」と口火を切ると、「シングルジャケットに印刷されたステレオグラムの立体視がどうしても見えなかった」(ごうし)「『50%&50%』のカップリング『DOUBT』のディストーションボイスに衝撃を受けた」(CUTT)と、hideフリーク同士のマシンガントークが炸裂。さらに「DOUBTのイントロの”ダカダカダン!”っていうところがややこしいよね」と浅井も参加し、トークもヒートアップ。3人でhideのサウンドの先進性や遊び心を称え合う(なお全員イントロや間奏のサウンドを歌って説明している)。

後半はギターを手にし、ミニアコースティックライブへ。観客からリクエストを募り、まずは「DICE」を披露、そして浅井も交えての「ever free」、最後は「MISERY」で締めくくられた。hide愛にあふれる(あふれすぎる?)ひとときであった。(F)

【RIGHT STAGE】16:40
筋肉少女帯

メタルBGMにのって、RIGHT STAGEに登場したのは、筋肉少女帯。デビュー30周年を迎える彼らはhideとほぼ同期といえるバンドで、実際に交流も深かった。テクニカルな楽器陣が繰り出すヘヴィメタルな演奏と、大槻ケンヂ(Vo)の独特な歌詞と歌唱スタイルが当時から異彩を放っていた個性派バンドである。1曲目は、橘高文彦(G)がフライングVを振り回しながら超早弾きを披露する「イワンの馬鹿」、2曲目は、80年代コールアンドレスポンスを取り入れた「日本印度化計画」と、バンドの代表曲をたて続けに演奏。3曲目は、「hideちゃんに習って、ギタリストだけど1曲歌います」といって、橘高文彦が「小さな恋のメロディ」をステージ中央でギターを弾きながら熱唱した。

衣装チェンジをして再びステージに登場した大槻ケンヂは、「当時、hideさんと親交があったので、橘高に歌ってもらいました」といった後、hideの思い出をいくつか話す。名古屋の店で会った時のエピソード、イベント筋少ちゃん祭りにhideが出演した時のこと。橘高は、hideとセッションバンドで演奏した時、まだNirvanaが全然知られていない頃だったのに、hideが「絶対にいいから」といって、全曲Nirvanaを演奏した思い出を語った。さらに大槻は、「踊るダメ人間」のダメ人間ジャンプが某バンドの有名な手をクロスさせるジャンプに酷似しているのだけど、hideが面白がってくれたので、現在まで「のうのうとやり続けてます」と語る。大槻の抜群のトーク力もあって、観客は大爆笑しながらhideの思い出話を楽しそうに聞いていた。

そして、彼らは「感謝の意味をこめて、歌います」といって、hideの「DICE」をカヴァー。続けて、「踊るダメ人間」。もちろん、観客は大槻ケンヂの歌にあわせて、力いっぱいダメ人間ジャンプを繰り返していた。ハードな曲を立て続けに演奏して、大槻は「やりきりましたー!」といった後、「10月25日、筋肉少女帯、ニューアルバムが発売になります」と、宣言。なんと1997年の「最後の聖戦」以来、20年ぶりとなる完全オリジナルフルアルバムのリリースを発表したのである。このステージで20年ぶりのアルバム発売を発表したことは、「50代パワーでまだまだ頑張るからね」という意気込みを、hideに伝えているような気がした。ニュー・アルバムのタイトルは、「future(未来)」というそうだ。(O)

【BLUE SKY STAGE】16:45
heidi.

hide関連のイベントには常連のheidi.。キャッチーで聴きやすいメロディーながらもそれぞれハイレベルな実力を持つ。和テイストなサウンドが盛り込まれ、一風変わった独特の雰囲気を醸し出すバンドだ。まずは夏にぴったりの「夏一途」でスタートすると、ナオ(G)のギターが夏らしさを醸し出していく。義彦(Vo)の歌声は、もともと綺麗にのびるのがとても印象的だが、野外において、その歌声はさらに空高く昇っていく。そしてhideのカヴァーソング「Beauty & Stupid」では、大先輩への敬意が込められているかのような丁寧な演奏で、重厚なサウンドが響き渡る。

このイベントに出演できたことへの感謝を述べると、日が陰り始めたタイミングでの最新曲、「サンセットブルー」。ストレートに思いが伝わるような訴え感のある歌い方で、義彦(Vo)は想いを伝えていく。ノリのいいダンスチューン、「レトロエレクトロ」が手拍子から始まり、ファンはそのリズムに合わせて激しくジャンプし、会場は盛り上がりを増す。安定の演奏力に自然と体を揺らしたくなるようなリズム感が心地よく感じられる。

曲が終わると、義彦(Vo) が空に手をかざし、手をゆっくりと下ろした。まるでhideを空から降ろすかのように。そしてそのままラストソング「ピンクスパイダー」へ。コースケ(B)と桐(Dr)が作り出す重低音に、ナオ(G)の重層的なギターが賑やかに駆け巡る。サビでファンが伸ばしたたくさんの手が、hideへ届けと願っているかのように高く高く掲げられた。「みなさんありがとう!そしてhideさんありがとうございました!」きっとその想いは空へと届いたことだろう。(Y)

【ISLAND STAGE】17:00
桂りょうば

ISLAND STAGEでのゴウシ&CUTTのトークショーが終わると、一瞬にしてステージに高座が誕生。ここからは音楽イベントでは異色の落語が始まる。高座に上がるのは、昭和の爆笑王と呼ばれた桂枝雀(享年59)の長男・桂りょうば。本来なら師匠に弟子入りし落語家をめざすところだが、りょうばは何故かバンドマンの道に進み、1995年からグルグル映畫館というヴィジュアルバンドのドラマーとして活動。しかし、2009年の父の生誕70年記念落語会を機に突如落語に目覚め、ざこば師匠のもとに弟子入りし、43歳で高座デビューを果たした。

高座の赤い座布団に座ると、観客の戸惑いを察してか「なりやまぬ拍手ありがとうございます。元ヴィジュアル系バンドのドラマーでSPEED OF LIGHTSのCUTTくんの実の兄です。2年前に噺家になりました」と挨拶。イベント出演のいきさつについて「ヒロシさん(hide実弟)に頼まれ、昨年12月のhideバースデーライブに出たら、来年のMLJも出てよ!と。僕だけ座っててすみません」と続けた。そして、いよいよ落語へ。「本来、夏は夏の話をするんですが、今日は冬の人情噺(笑)。リストバンドして落語をするのは初めてですが、聞いて頂く気はマンマンですか!?」と軽くウォーミングアップしてから古典落語「しじみ売り」を披露した。子供が家計を助ける人情噺にジッと聞き入る観客。気付けば会場は大入り満員。しじみ売りだけに「掬う貝ができた(救う甲斐ができた)」というオチで会場を沸かせ高座を下りた。(T)

【ISLAND STAGE】17:30
DJ HIROAKI ASAI

ISLAND STAGEのラストを飾るのは、二度目の登場となるラジオパーソナリティーDJ HIROAKI ASAI。最後のステージだけに気合も十分だ。

「まだ、暴れられますか?!X三昧!hide三昧!力は残ってますか?」と煽ると、ハイテンションで「Sadistic Desire」へ。手拍子を促し、激しく体を揺さぶりながら踊るASAI氏に引きずられるように観客も徐々にエキサイティング。ミラーボールと多彩なスポットライトで始まった「50%50%」(hide)で、ステージと会場は完全にボーダレスに。全員が歌い、踊る最高の空間へと昇華した。そして、たて続けにhideの「Junk Story」「in Motion」へ。「hideからたくさんの出会いをもらい、こんなスゴいイベントでDJができて嬉しい。hideを好きなDJは沢山いると思うけど、僕の音楽人生を導いてくれたhideに感謝」と語り、エアギターで観客を煽ると「オルガスム」(X JAPAN)で爆発。それに応えるようにヘドバンし始める光景は、もはやライブそのものだ。ラストのライブ版「X」では、Toshiの声に合わせ「おまえら気合いいれていけよー!」と口パクでモノマネ。曲の合間を「YOSHIKIも早く首を治して激しいドラムが叩けるようになるのを待とうじゃありませんか!」というメッセージで埋めながら、観客とともにXジャンプ、ヘドバン、Xジャンプ、ヘドバンの嵐。「音楽人生を変えた素晴らしいhideさん、ありがとう!運命共同体!」と言い残し、観客とハイタッチしながら最後のステージを終えた。(T)

【BLUE SKY STAGE】17:30
DaizyStripper

BLUE SKY STAGEのトリを飾ったのは、10周年を迎え、ついに2017年メジャーデビューを果たした5人組ロックバンド、DaizyStripper。数えきれないほどの楽曲を出し、たくさんのライブをこなしてきた。そんな彼らはこの日、新たな伝説を作り出した。

なんとメンバー全員がhideコスで登場。一際大きな歓声が沸いた。その見た目からもセットリストからもhideへの愛が強く伝わってくる。彼らはこの日限定の「DaizyHideripper」だと公言した。

夕霧(Vo) が空を仰ぎ、風弥(Dr/P)の優しいピアノの音色に合わせ、情感豊かに「MISERY」を歌い始める。間奏で一気に全楽器が加わると、ギターの伸びやかなサウンドがどこまでも広がっていく。ゆったりとしたゴージャスなアレンジだ。続く「Beauty & Stupid」では雰囲気を一気に変え、メンバーたちは笑顔でステージを楽しんでいる。

「今日メンバーの名前を呼ぶときは全員hideでお願いします!」と夕霧(Vo) が冗談を言うと、その後もファンはhideと呼び続ける。その後、X JAPANの「〜The Last Song〜」と「Sadistic Desire」を演奏し、まさかの選曲にファンも大喜び。ハイトーンを得意とする夕霧(Vo) の声が荒々しい声や綺麗な声など様々な側面を見せていく。

「X JAPANを好きになれて本当によかった。汗一滴かくたびに幸せな気持ちになります。最後1つになって空の上まで届け!」と叫び、始まったラストソングはhideへの想いをストレートに綴った「letter」。メンバー全員のhideへの愛が存分に込められ、ラストで夕霧は(Vo)空を見上げ続け、「hideさんに出会えた俺たちは幸せ者だー!」と最大の声で叫び、ステージを後にした。

ファンからアンコールを求められ、「後で怒られたって知らないぞ!」といいながらもファンサービス。「ダンデライオン」を最後にファンへプレゼントして大満足のステージを終えた。(Y)

【LEFT STAGE】17:30
山嵐

湘南の猛者たちが、MLJにやってきた! LEFT STAGEのトリを飾るのは、20年以上にわたりミクスチャーロックシーンを牽引し続ける山嵐。本日の出演者の中で一見畑違いに見えるかもしれないが、彼らは過去にCafe Le PSYENCEにも出演経験があり、KAI_SHiNE(Maschine)がかつて所属していたバンド・THC!!時代にMLJに出演したという縁もある。そもそもMLJのイベントコンセプト自体に、畑違いは存在しない。

ライヴは彼らのバンド名を冠した「山嵐」からスタート。楽器隊の轟音、KOJIMA(Vo)、SATOSHI(Vo)のツインボーカルがフロアの空間をねじ伏せていく。

「俺たちもhideさんをリスペクトしているし、いろんな音楽がhideさんの名のもとに集まって、俺も色んな音楽を吸収したから、皆も吸収して」とSATOSHIが本イベントに対する想いを述べる。続いてのパンクチューン「HANDS UP」で更にヒートアップしていき、バンドの生き様を象徴するような「BOXER ROAD」は圧巻のひとこと。

「”ロックの神々 に感謝します”って大昔にすごい人がそう言っていた」とKAI_SHiNE(Maschine)。もちろんこれはhideの言葉である。続けて「俺たちの地元、神奈川・湘南のすぐ隣の横須賀にCafe Le PSYENCEができたり、今年20周年のMLJに先日20周年をむかえた山嵐が出演できるのは、”ロックの神様”なるものの導きなのかな」と語り、「ミクスチャーバンドがここに立てるのは、長年変わらずタイトルと”主催者(hide)”のワガママに本気で信じて向かいあって、本気で笑って楽しんでるあなたたち、君たち、お前たちがいるから」という熱い言葉がフロアに響き渡ると拍手で迎えられた。最後は地元愛あふれる「湘南未来絵図」で締めくくった。ひとしきり暴れ倒した爽快感と、人情味のある暖かい余韻に包まれた。(F)

【RIGHT STAGE】18:10
ZEPPET STORE

今年のMLJのトリをつとめるのは、hideに見出され、LEMONeDレーベル発足のきっかけになったバンド、 ZEPPET STORE。SEと共に幕が開き、暗がりのステージにメンバーが登場。ふっとステージに明かりが灯ると、腕を高くあげ「ハロー!」と高らかに挨拶をする木村世治(Vo, G)。ライヴは「TO BE FREE」からスタート、ZEPPET STOREのサウンドが伸びやかにフロアに広がっていく。「DELIGHT」は5人体制になってからの曲、木村、五味誠(G)、赤羽根謙二(G)のトリプルギターから繰り出されるサウンドに、観客たちもそれぞれ自由に身を任せているようだ。

「皆さん楽しんでますか? hideさんに愛されて愛されまくったZEPPET STOREですが、今年もステージに立たせていただいて感謝しています。最後まで楽しんでください!」と木村。「この曲は、完成品は間に合わなかったけど、デモテープの段階では聴いてもらった。『良い曲だね』と言ってもらった曲です。hideさんに届くように歌います」という言葉から「ROSE」へ。この場所にいる全員と、hideに語りかけるように演奏する姿に胸を打たれた者も多いだろう。続いて音の濁流のようなイントロから始まったのは「声」。暖かい拍手に包まれた。

「明日も素晴らしい1日になりますように、魂込めて演奏させていただきます」という木村のMCをはさみ、「陽炎」が始まると、木村がフロアに手拍子を呼びかける。真っ赤な照明につつまれ、情熱的な四つ打ちのサウンドがフロアを揺らす。ラストは「FLY HIGH」。それぞれが全力で楽器をかき鳴らし、やり遂げたような表情でステージを後にした。バンドのサウンド、グルーヴを堪能し、そしてhideへの想いを感じ、共有することができたように思う。本イベントのトリに相応しいライヴだった。(F)

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